スパッタリングターゲットスクラップ【特殊金属】とは？
～ハイテク材料の裏側にあるリサイクル資源～
もしかして「特殊金属・レアメタル」の買取価格をお探しですか？
スパッタリング（Sputtering）【特殊金属】
スパッタリングターゲットスクラップとは、使用済み・寿命を迎えたスパッタリングターゲット材や、製造時の不良品・端材・加工くずを指します。
使用により表面が削られ、一定以上薄くなると性能が劣化するため、新品と交換され、役目を終えたものが「スクラップ」となります。
スパッタリングターゲットの主な使用分野と例
- 半導体 ：タンタル（Ta）、チタン（Ti）、アルミニウム（Al）など
- 太陽電池 ：カドミウムテルル（CdTe）、銅インジウムガリウムセレン（CIGS）
- ハードディス：クコバルト（Co）、プラチナ（Pt）、クロム（Cr）
- 液晶・有機ELディスプレイ：インジウム・スズ酸化物（ITO）、モリブデン（Mo）
スクラップの種類と形状
スパッタリングターゲットスクラップには、以下のような形状・状態があります。
- 【使用済みターゲット】円盤型（ディスク）、長方形プレート、リング型など
- 【製造端材・研削くず】粉末状、削りくず、切断端材
- 【 コーティング残渣 】装置内部に付着した堆積金属
多くは高純度（99.99%以上）で高価な材料が使われており、リサイクル価値が非常に高いのが特徴です。
リサイクルの流れと技術
スパッタリングターゲットスクラップは、他の金属くずと異なり、超高純度・高機能性材料としてリサイクルされます。回収から再製品化までの流れは以下の通りです。
1. 分析・仕分け
-
材質の特定（XRF分析、ICPなど）
-
コーティング層や不純物の評価
2. 前処理
-
機械加工や物理的除去で不要層を除去
-
粉砕・焼成などでリサイクルしやすい形状へ
3. 精製処理
-
湿式や乾式精製による純度の回復
-
特にインジウムやタンタルなどは専用工程が必要
4. 再ターゲット化
-
回収された材料を新しいターゲット材に再加工
-
メーカーが直接リサイクルループを構築するケースも多い
スパッタリングターゲットスクラップの価値と注意点
高価値スクラップ
スパッタリングターゲットは、原材料の価格だけでなく精製・成形コストが高いため、使用済みであってもキログラム数万円〜数十万円になることもあります。以下は一例です。
材質 |
参考買取価格帯（変動あり） |
|---|---|
| ITO（酸化インジウムスズ） | 10,000～50,000円/kg前後 |
| タンタル | 3,000～15,000円/kg前後 |
| モリブデン | 500～2,000円/kg前後 |
| プラチナ系 | 数万円/kg以上 |
リサイクル時の注意点
-
材料の混合禁止：異種材料の混入で再利用不可になる
-
純度維持が命：再利用には高純度を維持する必要がある
-
機密保持：先端材料に関わるため、取扱いには情報管理も重要
スパッタリングスクラップのまとめ
スパッタリングターゲットスクラップは、表面的にはただの金属プレートやくずに見えますが、その中身はハイテク産業を支える超高純度金属の宝庫です。
タンタル・インジウム・モリブデンなどのレアメタルが含まれており、これらを効率的に回収し、再利用することは資源循環型社会の鍵と言えるでしょう。
金属リサイクルの現場でも、”単なる「金属くず」ではなく「機能性材料スクラップ」”として正しく理解し、適切に取り扱うことが求められています。
| 多くのスパッタリングターゲット材は、メーカーが使用済み材料を回収し、自社で再生・再供給するクローズドループ・リサイクルを実施しています。これは品質保証と環境負荷低減を両立する先進的な取り組みです。 |
特殊金属・レアメタルは基本的に金属元素
発生が少なく一般的に見かけることの少ない特殊金属は、見た目での判別も難しいため、専門のスタッフによる検収が必要になります。最近では精度は低いですが、機械による金属の選別機（選別ガン）などもあるため、それを活用すればある程度判別が可能となっています。
※選別を行う選別ガンは様々な種類がありますが、一般的な物は精度が低いためお気を付けください。
特殊金属の関連内容一覧
金属スクラップ図鑑
特殊金属一覧
超硬スクラップ
触媒スクラップ（メタル・ハニカム）
レアメタルとレアアースの違い
プレシャスメタル
特殊ステンレス一覧
ニッケル合金
≫≫コバール（Kovar)
≫≫ニクロム
≫≫ヘビメット
≫≫サーメット
≫≫ハステロイ
≫≫インコネル
半導体とは？
≫基板スクラップ一覧
≫≫パソコン基板・マザーボードスクラップ
≫≫電子基板・精密基板スクラップ
≫≫家電基板・雑基板スクラップ
≫≫その他基板スクラップ
≫≫パチンコ基板とスロット基板
≫≫半導体・CPUスクラップ一覧
このページを読まれた方はコチラも見ています
この記事について（著者情報）
金属リサイクルの専門家として金属スクラップを取り扱う神田氏と山崎氏が解説しています。
