中古工具(こうぐ)とは、一度使用した工作に用いる道具である。機械での加工に用いるもの、電気工事に用いるもの、大工仕事に用いるもの、設備工事に用いるものなど様々な用途の工具がある。工作機械の刃も工具と呼ばれる。手動工具(ハンドツール)、電動工具、空圧工具、油圧工具、計測具、大工道具、切削・研削・研磨工具等に分類されるものについて述べる。

歴史

工具は、人類が人類たるシンボルといえる。なぜなら、工具は人類を他の全ての動物から分離したからである。一部の動物は食物を集めるために道具を使う。しかし動物の場合、一旦使用すればそれを捨ててしまう。一方、人間は工具を使用することで終わらず、その工具をより使い易くするか、もしくはより良く仕事をすることが出来るよう改善しようとする。言い換えると、工具には人の思考が加えられている。

発明・開発

工具に人の思考が加えられていることは、各国にある工具の特許記録を見れば明らかである。ほとんどの国の特許庁には、多くの工具の特許が登録されている。 現在に至るまで、本体がどのように動くかという事を追求し、工具の形は進化し続けている。工具デザイナーは、ユーザーがより快適に使える様に、より良く手に合う様に工具作りに取り組んでいる。 あるいは、以前とは異なる方法で働く工具についても考えている。例えば新しいオープンエンドレンチは、一方向に動かす時ナットボルトの角をつかむが、反対方向に動かすとスパナは空回りする。このスパナは技術者がより早い時間でナットやボルトを取り外すために必要である。

当然のことながら、工具は『それぞれが必要になったので、各工具が開発された』ということである。この例は、火ばさみの開発に見ることができる。 最初、人々が熱い火の中から何か(例えば岩)を取り出す必要があった時、彼らはおそらく一組の棒を使ったであろう。そして、ある日誰かが、棒の中心点がつるで縛られていれば、岩をつかむことがより簡単であると考えた。この人がした事はプライヤを発明したという事である。以降、人類はずっとこのプライヤを改善し続けているということである。

規格の問題

最初にスパナが作られた時、どの同じサイズのナットにも合う工具ではなかった。それは各々の工具は特定の鍛冶屋によって生産され、その鍛冶屋のナットやボルトに合わせられていた。生産者は地元の鍛冶屋であり、彼のネジ回しは彼が製造したネジに合い、彼のスパナは彼が製造したナットまたはボルトにのみ合っていた。

ある町の鍛冶屋は締め金具を決まった1サイズとし、また別の鍛冶屋は異なるサイズとした。こうなると、各地を移動する便利屋などは、ある締め金具をある町で使用するが、次の町では異なるサイズの締め金具を使わなければならなくなる。この問題を解決するため、口幅の調節可能なオープンエンドレンチの開発が必要となった。 また、何世紀もの間溝付きネジ回し(マイナスドライバー)を唯一のネジ回しとして製造する事になった。

産業革命

産業革命時、メーカーは締め金具や工具の生産をより簡単にした。国の一部で製造される締め金具が、国内の他の地区で製造される工具にも合う為には、サイズの標準化が必要であった。サイズ標準化は様々な工具に及んだ。 この標準化は大量生産につながり、生産単位量が大きくなりコストは引き下げられた。大量産生は、価格を下げ、品質の向上にもつながった。 これにより、現代においては工具は珍しくて高価なものでなく、安価ですぐに手に入るものになった。すなわち工具は、プロの職人に限らず、家庭で一般の人も利用できるようになった。誰もが家のまわりで作業や修理をすることができ、家を建設することさえできた。

現在

工具の発展の経緯を逆説的に遡れば、工具は「迅速かつ容易に何かをしたい」という人類の願望の表れであるともいえる。人が何かを発明するのは、結果的にはその仕事に割く時間を節約するのが目的だった。 例えば、大砲を発砲するために必要だった参照表を書くために必要な計算をしている時間を節約するためにコンピュータが発明された、という具合にである。

今日、店で一般的に買うことができる工具は、一世代前には専門的に使用されていたような工具の仕様を多分に受け継いでいる。他方で、一昔前には夢にも思わなかったような工具があらたに生まれ使用されてもいる。