最も身近で、最も取引量が多い金属資源【鉄屑スクラップとは?】

 今回は、金属リサイクルの中でも圧倒的な取扱量を誇る鉄屑(てつくず)スクラップについて、基礎から実務的なポイントまでをわかりやすく解説します。

 

 鉄スクラップの主な分類


【新断(しんだん)・ダライ粉】

代表機種:機械加工工場の切粉、プレス加工端材など

 特徴 :比較的純度が高く、規格化されやすい

注意点 :油やクーラント液が混ざっていると減額対象

 【H鋼・形鋼・建築スクラップ】

代表機種:建物の鉄骨、鉄製の梁や柱など

 特徴 :大口取引向きで、トン単位での扱いが一般的

注意点 :コンクリートやボルトが残っていると処理費がかかる

 【雑品(雑鉄)】

代表機種:自転車、家電の鉄フレーム、棚、農機具など

 特徴 :様々な鉄製品を混載できるが単価は低め

注意点 :アルミやステンレスなど他金属と混在すると選別コストが上がる

佐野重量金属

 鉄の価値と市場価格


 鉄スクラップは、国内外で毎日取引されている主要金属資源です。
 相場は日々変動しており、**2025年5月現在の参考価格は1トンあたり30,000〜45,000円前後(種類による)**です。

 価格は以下の要素で決まります
  • スクラップの種類(等級・検収)

  • 重量(kg・t単位)

  • 含有物の有無(不純物・異物)

  • 市場相場(鉄鋼メーカーの仕入れ価格に連動)

 

 家庭や事業所に眠る鉄スクラップ例


  • 解体した物置、ベッドフレーム、スチール製家具

  • 農機具、鉄製工具、鉄パイプ、門扉など

  • 製造業の金属加工くずや廃棄設備

  • ガスコンロ、ストーブ(※非家電リサイクル対象)

 

 高く売るためのポイント


  1. 他金属・異物は極力除去
     → ステンレス・アルミが混ざっていると雑品扱いに

  2. 油汚れ・塗装などは軽く清掃
     → 「きれいな鉄」は減点されにくい

  3. 品目ごとに仕分け
     → H鋼・ダライ粉などを混ぜずに分類する

  4. 小口ならば持ち込み、大口ならば引き取り交渉
     → 1t以上ある場合は業者による回収がお得

 

 鉄スクラップの再生の流れ


  1. 回収・選別
     → 人力や磁力により金属を分類

  2. 圧縮・加工
     → プレス機で小型化、シュレッダー処理も

  3. 溶解・再製品化
     → 製鉄所で再溶解→鉄鋼材・鋼板・鉄筋などに再生

 

 法令・取引上の注意点


  • 古物営業法の対象:売却時に本人確認が必要

  • 契約・重量証明:業者との取引は計量書・契約書を確認

  • 家電リサイクル法対象品:冷蔵庫・洗濯機などは対象外

 

 まとめ


 鉄スクラップは、「重い」「安い」だけではなく、最もリサイクル効率が高く、世界中で再利用されている重要資源です。
 処分せず、正しく仕分け、信頼できる業者へ売却することで、コスト削減にも収益にもつながります。