金属屑業について
金属屑業と金属屑行商について詳しく解説
今回は、業界の基礎中の基礎とも言える「金属屑業(きんぞくくずぎょう)」について、実態や役割をわかりやすくお話ししていきます。
「スクラップ屋」と呼ばれることも多いこの業種、実は資源循環型社会の“要(かなめ)”とも言える存在なのです。
金属屑業とは?
金属屑業とは、鉄・アルミ・銅・ステンレスなどの金属スクラップを回収・選別・加工し、再資源化する事業のことです。
一般家庭や工場、建設現場などから排出される金属くずを買い取り、加工業者・製鉄所・精錬業者へと橋渡しする「中継業者」としての役割を担っています。
この業務を行うには、古物営業許可とは別に、都道府県ごとに定められた”金属くず業許可(使用済金属等の営業許可)”が必要です。
許可の区分や要件は自治体によって異なるため、営業地域の行政機関に確認することが重要です。

基本的には以下に該当します。
■工場や製造工場などから発生する製品ロスや定期的に発生し、廃棄する金属
■建物の解体工事などの建設系、建築系、土木系、その他業により発生する廃棄金属
■一般家庭やオフィスなどから発生する一般的な廃棄金属
具体的にどんな金属があるのか?
| 【銅スクラップ】 | ・ピカ銅・上銅・並銅・込銅 |
|---|---|
| 【真鍮スクラップ】 | ・砲金・真鍮コロ・蛇口 |
| 【電線スクラップ】 | ・80%線・VA線、Fケーブル・家電線 |
| 【アルミスクラップ】 | ・アルミホイール・アルミサッシ・アルミ缶 |
| 【ステンレススクラップ】 | ・SUS304・解体ステンレス・ステンレス新切れ |
| 【鉛、亜鉛スクラップ】 | ・鉛スクラップ・亜鉛スクラップ・廃バッテリー |
| 【鉄スクラップ】 | ・H2、鉄骨・トタン、空き缶・機械、設備屑 |
金属の種類は多岐にわたり、一部ですが抜粋致しました。
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なぜ金属屑業が必要なのか?
日本は資源に乏しい国です。しかし、都市に眠る「都市鉱山(アーバンマイン)」には莫大な量の再生可能な金属が眠っています。
金属屑業者は、こうした資源を「ごみ」として焼却・埋立てするのではなく、適切にリサイクルルートへと戻す要の存在なのです。
金属は一度使われても、再精錬すればほぼ無限に使い続けられる優秀な循環資源。その意味でも、金属屑業は「地球に優しい仕事」と言えるでしょう。
主な業務内容
1. 金属スクラップの回収・買取
-
工場や解体現場、設備業者、農家などから鉄・非鉄金属を回収
-
自社ヤードで重量計測し、時価で買い取り
2. 分別・加工
-
鉄と非鉄、銅と真鍮、混合金属などを手作業や機械で分別
-
必要に応じて切断・圧縮・選別などの処理を行う
3. 販売・出荷
-
加工されたスクラップを製鋼メーカー、精錬工場、問屋などへ出荷
-
国際市況や為替の影響を受けながら、金属相場を見極めて売買

金属屑業者の種類
- 一般金属スクラップ業者: 鉄くず・雑品・家電スクラップなど広く扱う
- 非鉄専門業者 :銅・アルミ・ステンレスなどを中心に買取・加工
- 解体系スクラップ業者 :建物解体現場と連携し、大量の建材スクラップを処理
- 電子部品・基板系業者 :貴金属含有部品や半導体など高価値品に特化
金属くず商と金属くず行商の違いとは?
簡単にまとめると、引取りで売買をするかしないかになります。
金属くず商
- 営業所(荷受けヤード)を設けて金属くずを売買、委託売買、対価交換営業などになります。
金属くず行商
- 営業所で荷受けをせず、個別に相手先の場所へ向かい金属くずの売買、委託売買、対価交換営業などになります。
金属屑業に必要な許可と法令遵守
金属屑業を営むには、いくつかの法的許可が必要です。
-
金属屑業者登録(各都道府県への届け出)
-
古物商許可(警察署へ申請)
-
産業廃棄物収集運搬許可(産廃物扱いの金属回収を行う場合)
さらに、近年はコンプライアンスの強化も求められており、不法投棄・盗難品の買取・違法取引などを防ぐための管理体制が重要視されています。
★許可の申請先と許可が受けられない場合
金属くず商、金属屑行商の許可は、営業所を管轄する公安委員会で取得可能です。
※複数の都道府県で営業をする場合、各都道府県で届け出が必要でしたが、2020年4月1日からは主たる営業所を管轄する公安委員会にて申請が可能になりました。
★許可が受けれない重要な要件
以下に該当する場合、許可を受けられません。
- 破産の履歴が残っている場合
- 犯罪履歴がある場合(5年)
- 住所不定の場合
- 古物業許可や金属くず業許可が取り消された場合(5年)
- 未成年者の場合
まとめ:金属屑業は「縁の下の力持ち」

金属屑業は、表舞台には立ちにくい存在ですが、リサイクル社会の土台を支える大切な仕事です。
環境負荷を減らし、資源を未来に繋げていく。そのために、今日も現場では汗を流しながら、誇りをもって金属と向き合っています。
この記事をきっかけに、少しでも「金属屑業」の重要性が伝われば嬉しいです。
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