廃棄物の最終処分場を解説

 

 私たちの生活や産業活動の裏側には、目に見えない「廃棄物の行き先」があります。
 その最終地点が、”最終処分場(さいしゅうしょぶんじょう)”です。
 この処分場を正しく理解していないと、排出者も処理業者も、知らぬ間に廃棄物処理法違反になるおそれがあります。
 最終処分場は、廃棄物(ごみ)の埋立を行い、最終的に処分する施設のことで、焼却処理をした燃え殻やリサイクルできない不要物などを処理しています。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められている構造基準や維持管理基準に基づいて設置・運営されています。
 今回は、「最終処分場とは何か?」「どんな種類があるのか?」「金属リサイクルとどう関係するのか?」をわかりやすく解説します。

 

滋賀県金属買取の神田重量金属株式会社

 

最終処分場とは?

 最終処分場とは、廃棄物を最終的に埋め立てたり、安全に保管・管理したりするための施設です。

 つまり、「リサイクルできない残り」を

 “人や環境に影響を与えないかたちで閉じ込める”場所です。

  • 法律的には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」に基づき、都道府県の許可が必要

  • 埋立て後も30年以上の管理義務がある(浸出水・ガスなど)

 

 日本ではすでに1775カ所の埋立地がある※2021年時点


 産業廃棄物の最終処分には、廃棄物の減容化・安定化・無害化・無機化をする必要があり、最終処分場では安定化の達成を主要な目的とされています。これを行うために必要な役割が産業廃棄物中間処理施設です。

また、安定化させるとは「通常の環境かで現在以上変化せず、周りに影響を与えなくなった状態で、維持し続けるかぎり見た目の上で安定している」という状態のことをいいます。

 

最終処分場の種類【3種】

遮断型処分場

産業廃棄物の最終処分場(3種類)のひとつで、安定化させるのに期間が長い有害廃棄物を封印する目的です。

有害物質が基準を超えて含まれる燃えがら・ばいじん・汚泥・鉱さいなどの有害な産業廃棄物を埋め立てる最終処分場(埋め立て処分場)。
遮断型処分場は、コンクリート製の仕切りで公共の水域および地下水と完全に遮断される構造となっている。

安定型処分場

産業廃棄物の最終処分場(3種類)のひとつで、既に安定しているか、埋立後すぐ安定する無害な廃棄物を封印する目的

廃棄物の性状が安定している産業廃棄物である、廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・建設廃材・ガラスくず・陶磁器くず(これらは安定五品目と呼ばれる)を埋め立てる最終処分場。

管理型処分場

産業廃棄物の最終処分場(3種類)のひとつで、上記のどちらにも該当せず、埋立終了後も維持管理が必要になる。

管理型処分場は、埋立地から出る浸出液による地下水や公共水域の汚染を防止するため、遮水工(埋立地の側面や底面をビニールシートなどで覆う)や浸出水を集める集水設備により集めた浸出液の処理施設が必要となる。
最終処分場は、埋め立てられる廃棄物が環境に与える影響により管理型、遮断型、安定型の3種類に分けられる。

 

 「安定型に出せる/出せない」の判断が超重要


 たとえば…

  • 腐食した塗料缶 → NG(管理型)

  • 使用済みのPCB安定器 → NG(遮断型 or JESCO)

  • 金属製のがれき・鉄くず → OK(安定型)※再資源化が不可能な場合のみ

 この判断を誤ると、処理業者も排出者も法的責任を問われる可能性があります。

 

 最終処分場の役割は「ただ埋める」ではない


 現代の最終処分場は、単なる“埋立地”ではありません。

 環境への負荷を最小限に抑えながら、廃棄物を封じ込めるためのハイテク施設になっています。

 例えば

  • 遮水シートによる地下水汚染防止

  • 浸出水(雨水+有害物)を集めて浄化処理

  • 埋立ガス(メタン等)の抜き取り・燃焼処理

  • 周辺環境のモニタリング(空気・水質など)

 

 金属リサイクルとの関係


 金属リサイクル業者にとっても、最終処分場は“最後の出口”として避けて通れない存在です。

 こんな場面で関係します
  • 解体現場から出た「スクラップにならない金属付き建材」の処分先

  • 焼却処理した後の処理灰・スラグの受け入れ先

  • PCBや石綿(アスベスト)を含む設備の最終処理

 

まとめ:最終処分場は「適切に選ぶこと」が命

  • 廃棄物の性状を正しく見極めて、適切な処分場(安定型・管理型・遮断型)を選ぶ

  • 自社が関わらない処分工程でも、マニフェスト(管理票)で責任が残る

  • 「埋める」ではなく「閉じ込める」「環境保全する」時代へ

 

滋賀県金属買取の神田重量金属株式会社
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