鉱物資源政策
私たちの身の回りには、「鉱物資源」を原料としてつくられているものがあふれています。鉱物資源は、鉄や銅、鉛など金属の原料になる「金属資源」と、セメントやガラスなどの原料となる石灰石やけい砂などの「非金属資源」に分類され、私たちの生活と産業には欠かすことができません。
ところが、日本は鉱物資源の自給率が非常に低く、大部分は海外からの輸入に頼っている状況です。そのため、経済産業省では「鉱物資源政策」によって、鉱物資源を安定的に確保できるよう、以下のような取り組みをしているのです。
➀鉱物資源採掘のための協力
鉱物資源は採掘するほど減少するため、持続的に確保するためには新しい鉱山を開発し続ける必要があります。鉱山を開くには、現地での地質構造調査や探鉱調査などを行い、莫大な金額と非常に長い年月がかかります。
国はそれに対して、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)と協力して金銭的な助成や専門家派遣、技術協力などを行っています。
近年では、有限である鉱物資源の価格が上がって世界中で採掘が加速しており、現地では様々な問題が浮き彫りになっています。鉱物資源採掘は現地の雇用を生んで地域が発展する反面、環境汚染や自然破壊の問題や、鉱物資源が反社会組織の資金源となるなど悪い影響も大きく、これらの解決が課題となっています。
②レアメタル・ベースメタルの備蓄
鉱物資源の中でも、磁性材料や電子部品、特殊鋼などの原料となり、電子工業や機械工業、鉄鋼業に欠かせない「レアメタル」ですが、名前の通り地球上にわずかしか存在せず、抽出が困難であるなど、安定的に確保するのが難しい金属です。
そのため、レアメタル7鉱種であるバナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステンについては、国家備蓄を行っており、レアメタルの供給に何らかの障害が起こったとしても短期的には対応できるよう備えています。
また、鉄・銅・鉛・アルミニウムなどのベースメタルについても、生産量が多く大量に使用される金属であるため、2030年には自給率を80%以上に引き上げることを目標としています。そのためには、海外の天然資源と国内の再生資源両方の確保を増やしていくことが必要不可欠となります。
③自給資源の確保
非金属資源である石灰石や採石などは、日本が自給することできる数少ない鉱物資源です。しかし、 新鉱山の開発には莫大な資金が必要であり、10~20年もの開発期間がかかること、そして環境問題などから、自給可能な資源の採掘も厳しい状況となっています。
経済産業省では、鉱害防止施策や準備金制度を設けたり、岩石資源調査や鉱山合理化指導などを行うとともに、有限である鉱物を有効に活用するための、省資源・代替材料の開発やリサイクル関連技術開発などを推し進め、安定的な自給資源確保に向けた取り組みをしています。
また、日本は世界6位の領海・排他的経済水域があるため、この海域内の大量の鉱物資源の存在が期待されています。海底の開発も難しい課題ではありますが、海底の鉱物資源を確保できれば、大幅な自給率アップが見込まれます。
④鉱物資源政策のまとめ
私たちの日常生活とは切っても切れない鉱物資源ですが、多くを輸入に頼る現状に加えて、鉱物資源の採掘は環境・経済・社会と大きく関わる問題を伴うため、安定的に確保していくにはたくさんの課題があります。
経済産業省・資源エネルギー庁による「鉱物資源政策」では、採掘や開発によるマイナス面をいかに抑えるか、限りある鉱物をいかに有効に利用していくかが大きな鍵となっています。
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