サーメット(Cermet)【特殊金属】とは?
〜金属とセラミックが融合した“ハイブリッド素材”の実力〜
金属リサイクルの現場で、こんなことはありませんか?
「見た目は金属っぽいのに、やたら削りにくい」「火花が散らないけど摩耗に強い」
そんな不思議な金属が出てきたら、それは”サーメット(Cermet)”かもしれません。
サーメットは、Ceramic(金属酸化物などのセラミック)とMetal(金属)を組み合わせた複合材料で、文字通り“セラミック+メタル”=”Cermet(サーメット)”と呼ばれています。
サーメット(Cermet)
サーメット(Cermet)は、超硬とセラミックの中間と呼ばれる合金です。主に切削工具の材料として使用されるほか、飛行機のエンジン排気管の被覆やプラントの機械部品、高温用ノズルなどでも使用されています。
超硬合金やタングステン系のスクラップとして扱われますが、用途により炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、コバルト(Co)、炭化ニオブ(NbC)モリブデン(Mo)などで組成される合金スクラップで、磁気がありません。
【サーメット合金の例:工具系】炭化チタン20%、炭窒化チタン15%、炭化タングステン10%、その他
※炭窒化チタン(たんちっかちたん)
この構成により、サーメットは以下のような特性を持ちます
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高硬度・高耐摩耗性
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耐熱性が高く、切削時の焼き付きが少ない
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酸化に強く、仕上げ加工に適している
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一方で衝撃や曲げにはやや弱い
つまり、超硬合金と焼結セラミックの中間的な性質を持つ、まさに“いいとこ取り”のハイブリッド材料です。
★ケルメット(Kermet)とサーメット(Cermet)の混同に注意「ケルメット合金」は、技術文献や金属材料辞典などで「Cermet(サーメット)」の日本語表記として使われていることが多いため、混同して使われる場合が多くなっています。 特に、「高温用工具材料」「原子力」「航空タービン」などの分野で出てくるケルメットはサーメット材料を指し、軸受合金としてはケルメット合金が使用されます。 全くの別材料ですので、ご注意ください。 |

サーメットはどこに使われている?
現場でサーメットが出てくる場面は、主に切削工具や耐摩耗部品の解体・交換時。
主な使用例
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旋盤やフライス盤などの仕上げ用チップ
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金属加工向けの高精度切削工具
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金型の一部部品
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一部の航空・精密機器の耐摩耗部材
「超硬じゃないけど、鉄じゃない」工具の中に、サーメットは潜んでいます。

サーメットスクラップの見分け方と注意点
外観・質感
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灰色〜銀白色でツヤが少ないチップ状
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超硬と似ているが、火花テストや削り感が異なる
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工具としては「仕上げ用」に多く使われるため、摩耗していても形状は保たれていることが多い
重さと磁性
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超硬よりはやや軽い
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非磁性または弱磁性(コバルト含有量次第)
分析のすすめ
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XRF分析などでTi(チタン)やNi(ニッケル)、Co(コバルト)などが主成分として確認される

リサイクル価値と取扱上のポイント
サーメットはまだ流通量が少ないニッチな素材ですが、含有するニッケルやコバルトにより、高価金属スクラップとしての価値がある場合があります。
注意点
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超硬(タングステン系)と混ぜてしまうと評価が下がる
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一見似ているため、選別・管理が重要
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少量でもまとめておくと専門業者が評価してくれることも
扱いがわからなければ、「超硬っぽいけど違う気がする」箱をつくるのがおすすめ。経験を積めば、見た目と手触りでかなり識別できるようになります。
まとめ:サーメットは“静かに高性能な”次世代金属

サーメットは、切削工具の進化とともに登場した、精密加工時代の象徴とも言える合金です。
金属リサイクルの現場ではまだそこまでメジャーではないものの、高価金属を含んだ戦略的スクラップとして、今後注目されていく可能性があります。
地味だけど無視できない。
それがサーメットの資源としての重要なポジションです。
特殊金属・レアメタルは基本的に金属元素
発生が少なく一般的に見かけることの少ない特殊金属は、見た目での判別も難しいため、専門のスタッフによる検収が必要になります。最近では精度は低いですが、機械による金属の選別機(選別ガン)などもあるため、それを活用すればある程度判別が可能となっています。
※選別を行う選別ガンは様々な種類がありますが、一般的な物は精度が低いためお気を付けください。
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