ニクロム(Nichrome) 【特殊金属】とは？
〜熱に強い“発熱金属”、その正体とスクラップ価値〜
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ニクロム(Nichrome)
ニクロム(Nichrome) は、一般的には「ニクロム線」が有名ではないでしょうか？ニッケルとクロムが中心となった合金金属で、電気抵抗が高いことを利用して発熱素子で電気ストーブや電気コンロ、トースターなどに使用されています。
一般的なニクロムの成分はニッケル（Ni）70％～80％、クロム（Cr）20％～30％合金スクラップで、磁気がありません。
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ニッケル（Ni）：約60〜80%
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クロム（Cr）：約15〜25%
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（場合によっては鉄や他元素を少量含むことも）
この配合によって、ニクロムは以下のような特性を発揮します
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高温でも酸化しにくい（耐酸化性）
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電気抵抗が高い（発熱しやすい）
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柔軟性と機械的強度があり、形状を保つ
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高温での耐久性が非常に高い
これらの特性から、「電熱線」や「ヒーター線」として多く使われています。
【豆知識】製品の使用時（電気を通した際）は赤く光るのが特徴です。
金属スクラップとしての価値は高価になります。
どんなところからニクロムスクラップが出るのか？
金属リサイクルの現場でニクロムが出てくる場面は、限られてはいますが意外とあります。
主な発生源
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電気コンロやトースター、ドライヤーなどの家電解体
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工業炉の発熱体（巻き線状のコイル、板状など）
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抵抗溶接機の部品
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高温センサーや測温抵抗体（RTD）
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一部の特殊用途のフィルムヒーターなど
ニクロムは「ニッケル主体の合金」という点でスクラップ価値が高い部類です。ただし、他の金属と見た目が似ているため、見逃されやすいのが難点。
ニクロムスクラップの見分け方と注意点
見た目
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銀〜灰色の細線・リボン状・コイル状が多い
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鉄やステンレスより硬くてしなやか
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サビにくく、焼け焦げたような表面になることも
磁性
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基本的に非磁性（磁石にくっつかない）
※含有鉄の割合によって多少異なる
火であぶってみると…
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電流を流せば赤熱する（実際の検査には注意）
分析が確実
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XRFなどでNiとCrの比率がはっきり確認できれば、ほぼ間違いなくニクロムです。
リサイクル価値と扱い方のポイント
ニクロムスクラップの魅力は、やはり高含有のニッケル。
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ニッケル価格に連動して高単価が期待できる
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混ざり物がなければ高品位なニッケル系スクラップとして買い取られる
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一方で、不明金属との混在や絶縁物が残っていると評価が落ちる
現場で見つけたら、「よくわからん細線」はまず分別保管がおすすめです。
まとめ：ニクロムは「知らないと捨ててしまう系」高付加価値スクラップ
ニクロムは、見た目に特徴が薄く、しかも細くて地味。ですが、実際には高温に耐え、電気を熱に変える役割を担う特殊な金属であり、ニッケル資源としてのリサイクル価値は十分です。
「こんな細い線、鉄くずだろ」と思ってしまえば、それまで。
でも、“熱い仕事をしてきた金属”には、熱い価値が宿っているんです。
特殊金属・レアメタルは基本的に金属元素
発生が少なく一般的に見かけることの少ない特殊金属は、見た目での判別も難しいため、専門のスタッフによる検収が必要になります。最近では精度は低いですが、機械による金属の選別機（選別ガン）などもあるため、それを活用すればある程度判別が可能となっています。
※選別を行う選別ガンは様々な種類がありますが、一般的な物は精度が低いためお気を付けください。
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この記事について（著者情報）
金属リサイクルの専門家として金属スクラップを取り扱う神田氏と山崎氏が解説しています。
