欧州プラスチック戦略の現状と今後について
循環型経済へと移行を進めるEU。
その行政執行機関である欧州委員会は、2030年までにEU域内で使用されるすべてのプラスチック製品をリユースまたはリサイクル可能なものにし、プラスチック製品を削減するなどの目標を掲げました。
この政策文書は「プラスチック戦略」といわれています。
欧州が掲げた「プラスチック戦略」の内容や、世界のプラスチック規制、日本の現状などについて確認してみましょう。
この記事は下記の内容構成になります
・プラスチックゴミの現状
・取り組まなくてはいけないこと
・世界のプラスチック規制
・日本の現状
・これからのプラスチックの在り方
・欧州プラスチック戦略【まとめ】
プラスチックゴミの現状
プラスチックごみについては常に環境問題の鍵を握るものとして、さまざまな場所で取り上げられ、実際に世界各国で削減についての会議などが繰り返されてきました。
大量生産される工業製品から商品の梱包材まで、プラスチックは現代消費社会のありとあらゆる場所で使われています。
必要不可欠な存在です。
しかし、世界中に溢れているプラスチックのうち、リユース(再使用)やリサイクル(再生利用)されているのはわずか5%だといわれています。
残りの95%は1度使われただけで、ゴミとして廃棄されているのです。
プラスチックごみの大半は埋め立てに利用されたり焼却されたりしているのです。
環境にかかる負担はとても大きく、世界中の海岸に打ち寄せる海洋ゴミのうち、約85%がプラスチックゴミだといわれています。
このままの状態で増え続けてしまうと、2050年には海を泳ぐ魚より海洋ゴミが上回ることになってしまうとの試算もあります。
(2016年1月 世界経済フォーラム年次総会での報告)
取り組まなくてはいけないこと
EUではプラスチック戦略という政策によって、プラスチックゴミの減量化や使用の制限をすることを目標としました。
その目標を実現するために、以下のことを行うことを掲げています。
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企業にとってプラスチックのリサイクルが利益になるようにする
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プラスチックの廃棄を抑制する
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プラスチックの海洋投棄を阻止する
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問題解決に向けた投資とイノベーションを促進する
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世界各地で同様の変革を促す
国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」や「パリ協定」の目標達成に向けても重要な役割を担うこととなっています。
増え続けるプラスチックゴミ問題を解決するには、生産側の意識も大事ではありますが、生産されたプラスチック製品を使用する一般市民のプラスチックゴミに対する意識を変えることも必要です。
市民が手軽にプラスチックを識別・分別・リユース・リサイクルできる仕組みを作り上げることも大事だと位置づけ、環境負荷の低い購入やライフスタイルの選択を促していくことも大事だとして認識し、取り組んでいく方針です。
世界のプラスチック規制
ここまでの内容のようにEUはプラスチックの規制を進めておりますが、世界的にはプラスチックゴミの対策についてどのような見方でいるのでしょうか?
オーストラリアでは2020年以降、生分解性以外のプラスチック袋の使用を禁止しています。
他の国々も規制をしている国が出ていますが、その対策や規制は控えめなものとなっています。
EUなどがプラスチックに対して規制を始めている中で、中国も同様にプラスチックのリサイクルを促す動きを加速させています。
今までプラスチックなどの資源ゴミを輸入していた中国が2017年に廃プラスチックを含む一部資源ゴミの輸入禁止令を発表し、廃プラスチックの行き場がなくなったため、廃プラスチックへの対応を世界中で迫られている状態になっています。
日本の現状
日本のプラスチックゴミの排出量は世界代2位の排出量であり、その大半を中国やその他の海外へ輸出することで処理をしていました。
中国が廃プラスチックを含む資源ごみの輸入禁止を発表したことで、日本国内でのプラスチックゴミの処分が必要になり、日本もようやくプラスチックゴミに対する対策を始めました。
日本国内でもプラスチックゴミの減量化を目指すために、レジ袋の有料化を始め、企業単位でのプラスチック製品の使用廃止を行うなどの対策が進められていますが、諸外国から比べるとまだまだ遅れている状態です。
これからのプラスチックの在り方
プラスチックゴミは放置されれば街や自然の美しさを損ねてしまいますが、プラスチックゴミが海に流れ出して海を汚し、さまざまな生き物や私達の身体へ影響を及ぼす可能性があることが分かっています。
海に流れ出たプラスチックはマイクロプラスチック(プラスチックが壊れて小さくなってしまうこと)となり、魚が餌と勘違いして食べてしまう。
マイクロプラスチックを食べた魚を私達が食することになるので、食物連鎖にも大きな影響を与えてしまう事になるのです。
欧州プラスチック戦略はEUが掲げた戦略ですが、EUのみで実行しても決して解決する問題ではありません。
そして今後もさまざまな戦略をもって削減をしていくことでしょう。
欧州プラスチック戦略まとめ
欧州プラスチック戦略の指令案では2025年までに25%の削減を加盟国に義務付けています。
今後EU各国ではさらなる規制が設けられることでしょう。
2021年11月27日までに規制の有効性を確認し、規制が有効でないと評価されれば更なる規制案を提案する可能性があります。
EU、加盟国のプラスチック対策を今後も注目していく必要がありそうです。
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