不適正ヤード（金属スクラップ事業者）について
近年増加傾向にある金属スクラップ業者による「不適正ヤード」について、適正と不適正の基準や定義以外にも、なぜダメなのか・どうすればいいのかなどを含めて解説致します。
基本的には海外へ輸出向けの金属スクラップや中古アイテム（使用済みアイテム）を一時保管する施設とされており、従来では自動車や自転車の解体部品を保管してるケースが多かったのですが、最近では通常の金属買取の業者が扱うアイテムで該当する場合が多くなっています。
不適正ヤードは、隣接する住民や地域社会との間でトラブルの原因となります。例えば、不快な臭い、害虫やネズミの発生、そして景観の悪化、騒音などにより、近隣住民の住環境を侵害する可能性があります。
あらゆる影響がおこる
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健康への悪影響
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不動産価値の低下
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地域社会の評判への影響
ヤード業者（不用品回収業者）について
特に最近話題にあがることの多い不適正なヤード業者は、家電製品などの金属製品を許認可を取得せずに集荷を行い、違法に解体や加工をして金属スクラップとして海外・国内に販売するというリサイクルルートがございます。
不適正ヤードの概要
不適正ヤードでよくある扱い品目
①エアコンなど
フロンガスなどを大気中に放出したりしているケースが多く、許認可を取得していない場合も多い
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古物業（行商含む）
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金属屑業（行商含む）
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使用済金属類営業（岐阜県）
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使用済み有害機器
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フロン類充填回収業
などの許認可を取得する必要がありますが、重機などを使用して積み上げを行ったり、解体して本体に含まれる金属を取り出すといった業者が存在します。
②鉛バッテリー・廃バッテリー・電池類など
自動車の鉛バッテリーは、許認可を取得せずに解体を行い、中身の巣鉛（素鉛）を原料として取り出します。
しかし廃バッテリーには希硫酸など、そのままでは有害となる物質が含まれています。不適正ヤードでは、こういった廃棄液体を管理基準を設けずに危険な保管をおこなったり、そのまま環境に放出して土壌や水質に悪影響を及ぼす可能性もあり、水生生物や野生 動物への有害な影響も懸念されます。希硫酸の廃棄には、適切な廃液処理が必要です。
また、バッテリーから解体された鉛スクラップは海外へ輸出され、日本の資源サイクルの流れも途切れてしまうため、資源枯渇などの問題もおこります。
③家電リサイクル法の大型家電（テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・衣類乾燥機）
家電リサイクル法は、従来の「持ち帰り責任」から「製造責任」への転換を促し、サーキュラーエコノミーの推進に一翼を担っています。また、法律を通じてメーカー、消費者、リサイクル業者が協力し、より環境に配慮した廃棄処分を実現する仕組みを構築しています。
リサイクルされる製品には、適切に処分を行わないと環境への悪影響を及ぼす製品や人体に有害な物質も含まれます。また、家電に含まれる金属スクラップは価値が高い非鉄金属も多く含まれており、これを目的に不法に解体を行って金属を売却する不適正なヤードも多く存在します。
④小型家電（使用済み有害機器）
小型家電リサイクルには、一般家庭で使用される小型家電製品を対象としています。具体的な製品には、電子レンジ、トースター、電卓、電気歯ブラシ、ドライヤー、デジタルカメラなど多くの品目が存在します。
本来は有害物質の適正処理や再生資源の有効活用を通じて、環境への影響を低減し、循環型社会の構築を目指すこととされています。
しかし実際には家電に含まれる非鉄金属やレアメタルなど、貴重な資源を狙った不適正業者が存在し、違法な解体や保管を行って金属を売却したり、海外へ輸出したりする現状が存在します。
⑤自動車や車
自動車の不適正ヤードには主に2つの問題があります。1つ目は許認可を取得せず自動車の解体を行う、２つ目は自動車盗難などを行う窃盗集団の温床となっている場合、特に近年では自動車盗難は増加傾向にあります。
- 車両解体業者としての機能：自動車の保管ヤードやジャンクヤードは、不要になった自動車や部品の収集、解体、リサイクルを行う場所です。一般的には合法的なビジネスが行われていますが、中には盗まれた車両を受け入れ、不正に解体やパーツの転売を行う不法な業者も存在します。
- 盗難車両の流通: 不法な窃盗ヤードは盗難車両を受け入れ、解体したり部品を販売したりすることで、盗難車両の流通を助長しています。
- 取り締まりの必要性: 不法な窃盗ヤードに対する法的な取り締まりが求められています。合法的な自動車解体業者との協力や、車両の来歴情報の共有などが不法な活動の防止に寄与します。
犯罪に対抗するためには、警察や法執行機関、自動車業界、一般市民の協力が必要です。また、技術の進化に合わせたセキュリティの向上や法的な取り締まりが重要な役割を果たします。
⑥建設工事業者の残土や廃棄物
一部の建設工事業者が法令を無視し、残土や廃棄物を資材置き場に保管・不法投棄をしたり、不正に処理したりする事件が報告されています。これは環境に対する深刻な問題となります。
近年では残土の埋め立てを行い、森林環境の土壌汚染や土砂崩れの危険を引き起こします。
不適正ヤードと適正ヤードの違い
一般の方や業者様であっても、不適正ヤードとは知らずに利用している場合があります。
特に金属スクラップに関する内容では、不適正ヤードによる不法処分や不法投棄、脱税など犯罪行為を行う業者に売却しているケースも多くあります。
個人様や業者様であれば、見分けることが難しく、犯罪とは知らずにトラブルに巻き込まれることもあるため、様々な行政機関からも注意喚起がされています。
不適正ヤードを見分ける方法
不適正ヤードと呼ばれる違法業者を見分ける方法はいくつかありますが、一般的に確認可能な方法などをご紹介します。
①伝票の確認と消費税記載
不適正ヤードの場合、売却した際の伝票で消費税の対象税率や税額の記載が無かったり、税込記載だけの場合、伝票自体が手書きやメモ、そもそも伝票が無いなどがあります。違法業者や不適正ヤードは税金や帳簿を適切に行っていない場合が多く、売却後にはなりますが、判断が可能となりますので、トラブルに巻き込まれないためにも、返金して商品を返してもらうなどもひとつです。
②ホームページや会社概要で古物商の有無
不適正ヤードは古物商や許認可の記載をしていない場合があります。会社概要で確認が可能です。または、業者の事務所などに古物商や金属屑商の許認可プレートの記載義務がありますので、これがない場合、または身分証の確認を行わない場合、100％違法業者であると断定できます。※許認可を取得している不適正ヤードもありますので、この限りではありません。
③直接電話で問い合わせてみるのも有り
感覚的な話にもなりますが、電話で問い合わせた際にそれとなく「身分確認が必要か」「伝票は発行されますか？」など確認するのも一つです。コミュニケーションは重要な指標となっており、適正なルールや近隣住民としっかりと連携が取れている場合、お客様対応にもあらわれるかと思われます。
④ヤード内に山積みされている状態で判断
置き場に積みあがったアイテムで、プラスチック・タイヤ・家電製品・エアコン・冷蔵庫・木くずなど、保管の表示板を設置せずに高く積み上げている場合があります。特に廃タイヤや家電類を違法に積み上げる業者は全国にありますが、行政機関も近隣からの通報を基に注意指導や改善を求めています。こういった違法業者と判断がつかずに売買や取引を行うと、トラブルに巻き込まれる場合もありますので、注意してください。
これらの問題は、資源環境やリサイクル業者としての責任を果たさないことや、法令順守の不備、環境への十分な配慮の欠如から発生する可能性があります。専門機関や行政機関による問題の解決や予防が進められています。
環境や地域コミュニティにも悪影響を及ぼす複合的な課題です。解決には近隣住民や地域全体の結束が不可欠であり、美しい未来を築くための連携が求められています。
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この記事について（著者情報）
金属リサイクルの専門家として金属スクラップを取り扱う神田氏と山崎氏が解説しています。
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