有限な金属資源と金属リサイクルの無限の可能性による持続可能な社会へ
金属リサイクルの無限の可能性とは、金属は何度もリサイクルすることができ、品質低下や資源枯渇のリスクを回避しながら、新たな価値を創出することができるということです。
金属資源は、他の素材と比べて、リサイクルの際に不純物を除去しやすく、元の性質を保ちやすいという特徴があります。そのため、金属は無限のクローズドループリサイクルを実現できる素材と言えます。
今回の記事では、金属リサイクルの現状や課題、展望など金属リサイクルの無限の可能性について紹介しています。
目次・メニュー(この記事は5分程で読めます)
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金属リサイクルの重要性
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金属リサイクルの課題
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金属リサイクルとSDGs
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金属買取の現状
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金属リサイクルのメリット
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金属リサイクルの事業活動と取り組み
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資源の活用と持続可能な社会
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金属リサイクルと地域社会
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金属リサイクルの技術と未来
金属リサイクルの重要性
金属リサイクルとは、使用済みの金属製品や金属くずなど、いわゆる金属スクラップを再利用することです。 金属リサイクルには、以下のようなメリットがあります。
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天然資源の節約 :金属は地球上に限られた量しか存在しません。金属リサイクルをすることで、新たに採掘する必要が減り、資源の枯渇を防ぐことができます。
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エネルギーの節約:金属を採掘したり、精錬したりするときには多くのエネルギーが消費されます。金属リサイクルをすることで、エネルギーの消費量を抑えることができます。
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環境の保護 :金属を採掘したり、精錬したりするときには大量の廃棄物や排出ガスが発生します。金属リサイクルをすることで、環境への負荷を軽減することができます。
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経済の活性化 :金属リサイクルは、金属くずの回収や再生に関わる産業を支えます。また、金属リサイクルによって得られた金属は、さまざまな製品に再利用され、国内の需要を満たすことができます。
金属リサイクルは、資源が少ない日本にとって重要な取り組みです。金属リサイクルによって、資源の有効活用や環境の改善、経済の発展に貢献することができます。
金属リサイクルの課題
金属リサイクルとは、使用済みの金属製品や金属くずを再利用することで、資源の節約や環境の保護に貢献することです。しかし、実際金属リサイクルに必要な廃棄物の回収率は、日本ではまだ低く、十分な量を確保できていないといわれており、回収方法や制度の改善が求められています。
金属リサイクルによって回収された金属は、不純物の混入や結晶粒の粗大化などによって、品質が劣化することがあります。
品質の維持や向上のための技術開発も今後の課題となっています。 廃棄物の分別や解体、溶解や精錬などの工程が必要であり、これらにかかるコストは高くなっているため、コストの削減や経済性の向上のための効率化と技術革新が必要になります。
金属リサイクルとSDGs
金属リサイクルとSDGsは密接に関係しています。 2030年までにより良い世界を目指す、世界共通の目標にはであるSDGsには17の目標と169のターゲットがあります。 特に金属リサイクルに関連する重要な目標は下記の通りです。
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目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
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目標8:働きがいも経済成長も
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目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
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目標11:住み続けられるまちづくりを
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目標12:つくる責任つかう責任
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目標13:気候変動に具体的な対策を
金属リサイクルによって、資源の有効活用や環境の改善、経済の発展に貢献することができます。金属リサイクルに関心を持ち、積極的に参加することが望ましいです。
SDGsは企業や個人に関わらず、一人ひとりの行動が重要です。日常生活の中で少しでもリサイクルに関心を持っていただけると幸いです。
金属買取の現状とは?
金属買取は、使用済みの金属製品や金属くずを回収し、再利用や再生に向けて買い取ることです。
金属資源は地球上に限られた量しか存在しないため、資源の有効活用や環境保護にもなっており、金属は再利用や再生が容易であり、エネルギーやコストの節約にもつながります。
金属は種類や純度によって価値が異なり、相場価格も変動するため、日々買取価格は更新されています。
金属は自動車や住宅、インフラから身近な製品など、さまざまな用途に利用されるため、常に需要が高い資源です。
金属買取の市場規模は、2012年にピークを迎えた後、金価格の下落や消費者の需要減により縮小傾向にありましたが、2018年頃から相場が活発に動き、2021~2022年は銅相場が歴史上最高価格となりました。
金属買取の業者は、金属リサイクルセンターやリサイクルショップ型、専門問屋型など、多様な業態が存在しており、店頭へ持込みをする以外にも宅配買取や自宅へ出張など、さまざまな買取方法を提供している業者も多くなっており、国内外での販売ルートや技術開発など、競争力の強化に努めています。
金属リサイクルのメリット
金属リサイクルは、資源の節約や環境の保護などのメリットがありますが、デメリットもあります。
主にリサイクルをするためにあらたな資源やエネルギーが必要となっており、基本原則は長く使い、製品として可能な限り長く使う必要があり、アップサイクルなども注目されています。
廃棄物の分別や解体、溶解や精錬などの工程が必要であり、コストは決して安くありません。
リサイクル技術も施設もまだまだ課題が多く残っており、金属リサイクルは、日本にとって重要な取り組みです。
金属リサイクルの事業活動と取り組み
金属リサイクルは原料の集荷⇨回収⇨選別⇨加工⇨製錬・精錬⇨新たな製品という流れがあります。
主に金属買取業者や金属リサイクル業者は工場や家庭から発生する金属スクラップや廃電子機器など、幅広い集荷を行います。
回収された金属リサイクル原料は形状や材質に応じて選別・加工・焼却・破砕などの前処理を行います。
脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業も環境省が主導となって活発となっています。たとえば、鉱石自ら発する酸化反応熱を最大限に活用し、化石燃料使用量をする「グリーンハイブリッド製錬」を推進することで、脱炭素化社会に貢献することを目指す事業です。
最近ではEV車に搭載されているリチウムイオン電池からニッケルやコバルトを回収する技術や、電子基板から白金族金属を回収する技術なども進んでおり、自動車業界や様々な産業で活用されています。
資源の活用と持続可能な社会
金属資源には自然に存在するものをそのまま利用する天然資源や、人工的に作られたものを再利用する人工資源があります。
将来の世代も現在の世代も豊かな生活を守りつつ、極力天然資源を維持した状態で最大限の効果を得る必要があります。
例えば、エネルギーの節約や再生可能エネルギーの利用、廃棄物の減量やリサイクルは循環型の経済と呼ばれています。
資源の消費を抑え、廃棄物を減らし、再利用や再生を促進することで、資源を循環させることで安定的なサイクルを目的としています。 ※3R(リデュース、リユース、リサイクル)や5R(リフューズ、リデュース、リペアー、リユース、リサイクル)などの原則があります。
資源の活用と持続可能な社会と環境への貢献には、国や地方自治体、企業や団体、個人など、さまざまな主体が関わっています。
日本では、循環型社会形成推進基本法やグッドライフアワードなどの制度や取り組みがあり、 世界では、SDGsや欧州グリーン・ディールなどの国際的な枠組みや目標があります。
金属リサイクルと地域社会
地域社会とは、特定の地域に住む人々が形成する社会のことです。
地域社会には、文化や歴史、風土などの特徴があります。地域社会には、住民や行政、企業や団体などの様々な主体が関わっています。
金属リサイクルは、地域社会における産業の多様化や雇用の創出に貢献することができます。例えば、金属リサイクル業者は、地域の工場や家庭から金属スクラップや廃電子機器などを回収し、選別や加工を行ってリサイクル原料として販売することで、地域経済の循環を促進することができます。
環境の保全や改善にも一助となっており、廃棄物の減量や有害物質の除去を行うことで、地域の美観や衛生を向上させることができます。また、金属リサイクル業者は、環境教育や啓発活動を行うことで、地域住民の環境意識やリサイクル意識を高めることができます。
金属の特性や用途を研究し、新しい製品や素材を開発することで、地域のイノベーションを支えることができます。金属の歴史や文化を伝承し、地域のアイデンティティや魅力を高めることができます。
金属リサイクルの技術と未来
金属リサイクルの技術はまだまだ発展途上となっており、2025~2035年にかけて様々な技術革新がうまれるのではないでしょうか?
実際にIoTやAIの活用による金属リサイクルの効率化は行われており、エネルギー消費量やオペレーション効率の可視化、リサイクルフローの最適化、新サービスの創出などを行うことで、金属リサイクルの競争力を高めることを目指す取り組みは進んでいます。
金属買取業者や集荷業者も、より効率的にアイテムを集める必要があり、工場や工事現場からの発生が多い場所だけに目を向けるのではなく、一般家庭などで捨てられていた金属ゴミなどもターゲットにする必要があります。
集荷・回収技術で金属スクラップや廃電子機器などを効率的に集める方法は近年進化しています。例えば、GPSやバーコードなどを利用して、回収ルートや在庫管理を最適化する技術や、ロボットやドローンなどを活用して、回収作業を自動化する技術などがあります。
選別技術においても、回収された金属を目的に応じて分類し、形状や品質を改善するため、磁力や重力、電気的特性などを利用して、金属を種類や純度に分ける技術や、焼却や破砕などを行って、金属のサイズや密度を調整する技術などがあります。
金属リサイクルには資源の有効活用の面でも無限の可能性がありますので、重要な産業のひとつとされています。
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